ITエンジニアの才能について
2019年 9月号
ITエンジニアは専門技術職です。近年は様々な分野でこのITエンジニアが活躍する時代となりました。しかし、この高い専門技術はITエンジニアのものだけなのでしょうか?ITの技術やITシステムそれ自体では価値が無く、利用されてその効果が発揮されて初めて価値があるとも言われております。つまりそう考えると、ITエンジニアの専門技術もその価値は何かに効果的に利用されて初めて、その技術が高いとか低いとかというような評価がなされるのかもしれません。いったい、ITエンジニアの才能とはどういうものなのでしょうか。
ITエンジニアの多くは自分のスキルアップのために日々仕事に励んでいます。全てはお客様のためとか、会社のためにということが理由であろうと思います。または、上司などから資格を取得するように指導されているからなどという理由もあるかもしれません。いずれにしても、技術の向上を図ることはとても素晴らしいことです。このような一人一人のITエンジニアの努力によって世界のITは進化発展しているのだということは容易に想像できることです。このような努力はいわばそれ自体が才能でもあると思います。そしてその才能は更に高みに上り一人前のITエンジニアに育っていきます。また、その先には優秀な技術者として後輩を育成していく先輩エンジニアにもなっていくわけです。その恩恵は後輩エンジニアだけでなく、多くのお客様や関係者に広がり技術を通して社会を良くしていき、エンジニアとしての仕事を通して人々の役に立っていると実感できて、自己充実を味わうことができます。
ところが、その技術を持つエンジニアの考え方一つで逆に悪い方向へも進んでしまうといことを忘れてはなりません。ある程度の技術を持つと傲慢な態度になり、偉そうに振る舞うエンジニアになってしまうことがあります。つまり、謙虚さを無くしていくのです。初めの頃は純粋に技術を学び喜びを感じていたはずなのに仕事に追われ忙しくなり、つい初心を忘れてしまい本来のあるべき状態を無くしていってしまうのです。そして、そこで成長は止まりトラブルも増えていき、それを他人のせいにして周囲からも好かれない存在になってしますのです。
そうならないためには謙虚な気持ちを忘れないことが大切ですが、具体的にはどうすればよいのでしょうか。いくつも良い方法があるかと思いますが、一つの例は自分の才能や技術は誰のものか、と問いそれが自分独りのものでないことを理解しておくことです。才能はもしかしたら生まれる前からあったものかもしれませんし、自分の努力とは言え、例え厳しかったかもしれないけれどもお客様や先輩エンジニアのおかげでもあるのです。私の才能が誰のものなのか?と問い続けることもITエンジニアの大切な仕事なのかもしれません。