IT発注業務の能力、責任、自信について

IT発注業務の能力、責任、自信について

2019年 6月号

ITを活用して業績を向上させるためには、まずそのITのシステムやツールを準備しなければなりません。ほとんど場合、外部からの購入または注文して作成を委託するなどしてそれらを準備することになります。このようにITに関する業務のアウトソーシングはどのような企業でも進められております。そのため、特に企業のIT発注業務は重要なことになってきております。

近年、自社が必要とするITのシステムやツールの作成や準備を上手く進めることができない会社がとても多くなってきております。企業の多様な業務フローの中で、それに適合するITシステムやツールを進めなければならないのですが、その業務は簡単なことではなく、その様なことの責任と能力を全うできる人材が在籍する企業はあまり存在しないというが現実のようです。その発注業務能力が全うできないために、発注後になって窓口担当者が「このことは○○部の○○さん聞かないとわからない」とか、無責任な別担当者が「こうしないと駄目だ」などという身勝手な意見を発して、発注前又は発注時の内容を変更させてしまうこと等があるのです。

そもそもITシステムやツールの導入の目的はITを活用して業績を向上させることなどであります。その責任者はトップマネジメントか部門の長であります。しかし、往々にしてそういう人材はITには詳しくないからという理由で、社内でちょっとITに詳しい担当者に丸投げしてしまい、匙を投げてしまいます。その担当者はITの関する俄か知識こそありますが、そもそも企業では社内業務の一担当社員ですので、IT業界のSE(プロのシステムエンジニア)とはスキルレベルが違います。ですので、会社でちょっとITに詳しい担当者に任せること自体が企業のIT活用に対する経営判断、営業判断のミスであり、残念ながらITのシステムやツールを準備が上手く進まないほとんど理由が企業の発注業務の人選ミスであることが多いのです。

ベンダーコントロールなどいう言葉がありますが、発注業務には社内業務コントロールの能力や責任、自信も必要です。IT活用の目的を達成するために必要な様々な社内業務に対する権限や詳細の知識を持つ人材が社内業務をコントロールしながら、同時にアウトソース先などに対して自社のIT戦略に適合する明確な要求や具体的な要件を作り上げて依頼できるというベンダーコントロールの能力があれば、いろいろな会社でIT活用が上手く進むでしょう。つまり、企業は営業面で社内業務コントロールを身に付けた上で、IT面でベンダーコントロールをできるという順序での人材育成も検討しなければならないのかもしれません。