ウェブデザインの更なる貢献について

ウェブデザインの更なる貢献について

2013年 11月号

ウェブサイトを作る際に、「ただかっこよければいい。」という時代は終わったように思います。それはウェブサイトの本質というものが変化したからではないでしょうか?以前は企業から顧客及び見込み客への一方通行の画像配信のような位置付けでしたから、魅惑的で、印象的なビジュアルを求められていたのかもしれませんが、今日のウェブサイトが果たす役割は企業と顧客及び見込み客との双方向での情報のやり取りへと大きく進歩しました。つまり、ウェブサイトを「見る」という行為からウェブサイトを「使う」という行為への変化がウェブデザインの役割を大きく変化させているのです。

ウェブサイトが「見る」から「使う」という行為の対象になっているのですから、「見易さ」よりも「使い易さ」という点を重要視することは当然です。全体のページの遷移の仕方から細かなボタンの大きさ、位置、配色などに至るまで、デザインの守備範囲はとても広くなっております。ということは、ただ、絵が描けるというデザイナーはウェブの世界ではあまり貢献できないことを意味しているのかもしれません。絵が描けるなら、それを活かして、ポスターやチラシを作った方がより活躍できるのかもしれません。もちろん、両者のスキルを持ち合わせたデザイナーにウェブの世界で活躍してほしいというニーズは社会的に大きいと考えられます。

ウェブサイトだけではなく、近年は業務システムもウェブ化しており、そういったウェブシステムにおいてもデザイナーの活躍の場が大きく広がりました。以前はプログラマーやSEが画面設計という工程の中で、画面遷移やレイアウトやボタンの配置などを行っていましたが、プログラム言語を書いているエンジニアが「見易さ」、「使い易さ」などを考慮するデザインのスキルが高いケースは少なく、システムのユーザーはシステムの画面には妥協して、プログラムが正確に動き、機能がすべて使用できることでシステムを完成と考えていました。そして、それによる一見難解そうに見えてしまうシステムの画面が与える第一印象によってコンピューターは難しいから好きではないという人を職場に増やしてしまったのかもしれません。

多くのウェブサイトでは問い合わせをしたり、商品を購入したり、クレジット決済を行ったりと様々な情報のやり取りや重要な処理を行います。また、多くの企業の業務システムもウェブ化が益々進み、日々の仕事の入力処理や経営分析のための様々なデータの出力など業務のほとんどすべてがウェブシステムの処理で行われています。そのように、役割を大きく広げたサイトやシステムの開発の中で、デザインの重要性は日々大きなものになっております。デザインの良し悪しでサイトやシステムの評価が大きく変わってしまうこともあります。また、開発に関わるプロジェクトメンバーの中でもデザイナーの優秀さへの依存度も増えています。ウェブデザインがこれからもサイト、システムの開発に大きく貢献していくことは容易に想像できるでしょう。