Webの公共性について

Webの公共性について

2015年 4月号

インターネットを利用したWebサイトの社会的な役割が益々増している今日でその公共性が重視されているように思います。Webは情報を伝える仕組みではありますが、これまでのテレビや書籍とは扱い方が大きく異なる仕組みです。今までは他社も広告宣伝にWebを使っているから自社でもやってみようとか、販売促進の費用が投資できないからWebで自社の商品を販売しようとか、自社の都合だけを考えて導入してきた会社も多くあるのではないかと思います。

ところが、最近注目すべき点はWebが自社ではなく利用者の有益性を重視しているかを判断している流れがあります。利用者はあらゆる情報端末(デバイス)を利用しております。ですから、どんなユーザーの端末から利用しても利用しやすい作り方をしていないと検索の評価が上がらないなどという動きも活発です。スマホやタブブレットへの対応ができない。というのであればそれを利用する利用者からも検索し難くなる。というのは当然の因果関係かもしれません。

また、これから重要になってくるだろうと思われることは前述の作り方の他にも、その中身(コンテンツ)についてです。自社のつまり発信側の都合だけが発信されているサイトであれば利用者は面白くもないし、利用しにくいサイトになってしまいます。利用者にとって都合に良いことが発信されているサイトであれば、利用者が有益になるので、評価が上がることに結びつくでしょう。利用者は何かを知りたいという動機でWebを利用します。その利用者の動機に全体として誠実に応えているサイトが高い評価を得ることができるようになるでしょう。

ただし、利用者の立場に立って、利用者の有益性を追求すると公共性というキーワードに辿り着きます。その公共性の実現のためにはWebに対する思想、技術、表現など様々な点においてレベルを高めなければなりません。企業にとっては時間や人材や費用などあらゆるコストが必要となってくるかもしれません。しかし今やWebでは自費出版の同人誌や趣味の動画撮影のような考え方では飛躍は望めません。広く社会の役に立つWebの活用を考えていく時代になったのではないでしょうか。