独占的な依存状態の危険性について

独占的な依存状態の危険性について

2015年 6月号

「システム保守」という業務を外注パートナー会社に依頼している企業は多くあります。業務上重要なITシステム運用するにあたり、しっかりと保守サービスを受けていることは大変賢明なことだと思います。保守サービスには各社で様々なやり方があると思いますが、両社間で費用も含めて一番良いサービスを見つけていくことが重要だと思います。今回少し問題に取り上げたい点は、その保守サービスをどのような会社に依頼するべきなのか?ということです。

システムとは設計から製造そして検証という開発工程をすべて終えて完成し納品されます。そして実際の運用が始まります。その流れの中で「システム保守」は当然開発を行った会社に依頼する、そして開発会社はそれを引き受けるということになるのが一般的です。しかし、一度、運用が開始されるとその「システム保守」の内容が長期に渡り見直されなかったり、認識の違いからトラブルの原因になってしまうことがあります。しかし「保守サービス」は発注・受注の契約ですから、いつでもお互い打ち切ることができます。そこで、もし運用後に長期にわたり「保守サービス」を一社に独占的に依頼してきている場合、「保守サービス」を打ち切って不利になってしまうのは実際はシステムを運用している発注者側になってしまうことが多いのです。それが「依存状態」の危険性です。

システム会社は会社の経営者からの依頼でシステム開発の仕事を受注することがありますが、それ以外にも経理部門から依頼もあれば、営業マーケティング部門からの依頼などもあいります。システム開発を行う場合は業者選定はしっかり行うでしょう。提案内容、実績、担当者、プロジェクトメンバーの経歴スキル、見積りの金額や支払い条件などあらゆる角度から慎重に検討して発注に至ります。しかし、運用になり「システム保守」という業務になると初めにサービスの内容や金額を決めるだけでその後はメンテナンスを行いません。

長年に渡る保守業務の中で、保守する側も要領に対する理解が深まり、度重なる改修作業でシステムに多少特異な変形があっても対応し続けることができます。しかし、それは残念ながら保守する側の努力で起きる能力であり、反面発注側は運用後はシステムの保守作業は業者に任せきりになり軽視しがちになっているのです。運用後も時にはシステム開発を発注する際に検討したくらいに真剣に保守サービスについて、どうするべきか?独占依存に陥っていないか?などを考える機会を設けないといけないのかもしれません。