システム開発・保守の管理費などについて

システム開発・保守の管理費などについて

2015年 7月号

システム開発でもシステム保守でもIT業者に依頼する際には業者選定などのために見積りの比較検討などを行います。これは、より良いサービスを受けるために当然のことです。サービスの内容を正確に比較することは専門的な知識が必要になるためやや困難なことですが、業者から提出された見積りの金額を比較することは、金額の大小が分かれば理解できますので、小学生でも可能なことかも知れません。

IT業者との提案内容の確認と価格の交渉ということは大事な仕事になります。提案書や見積書を見て詳細を確認して、調整していくことになります。もちろん、プロジェクトのオーナーからの要求をいかに満たすか?納期に関しては問題無いか?システムの導入にあたり自社の器機やインフラの環境及び利用する自社のユーザーのリテラシーに対し教育は水準を満たしているか?など様々ことを考えなければなりません。システムに業者以外にも、マーケティング会社やハードウェア購入先、インフラ構築業者、セキリュティ対策指導者・・・などとの連携が必要になるかもしれません。

このような多岐にわたる作業の中で、業者との価格交渉があります。そこでとても役立つことがあります。ある程度の金額低減の交渉が進み、さらに低減を検討する際の策で両者が「管理費」「ドキュメント作成費」「検証試験費」などを削ることを考えるところまで進んでいる場合は安易にそれ以上の低減はするべきではないことがほとんどであるということです。なにより最優先は開発も保守も「作業費」なので、その他を削りたくなる心理は理解できます。そのため、「管理やドキュメントや試験は自分達でもできますのでその分価格を引いてください。」という無謀な発言をする会社がいることは事実です。しかし、専門の管理者不在、ドキュメント無し、専門の試験未実施のシステムプロジェクトなど成功するはずはありません。業者はオーナーがそこまで言うのならということで、好まずに受け入れているだけです。

「管理費」「ドキュメント作成費」「検証試験費」などを削ることで問題になり、苦労するのは結局その会社自身になります。その代償が大きいことを知っているだけに、IT業者も苦しみます。そのような理解が少なく感情的になるお客様に対して同情して、赤字覚悟や持ち出しで最後まで仕事をするのがIT業者の責任でもあります。もし、価格の削減調整の両者の協議の中で「管理費」「ドキュメント作成費」「検証試験費」などを削るところになったら、本当にその代償となるリスクを回避したり、その代償となるリスクを受ける覚悟があるかを十分に検討することが大事なのでないでしょうか。