システム開発のトラブルの原因について

システム開発のトラブルの原因について

2015年 8月号

システム開発は非常に困難な仕事です。簡単にシステム開発と言っても、だれが何のために使うシステムなのかという目的の設定を行ったり、どのようにしてそのシステムをつくりあげていくのかというプロジェクトの体制造りを行ったりして、ようやくシステム開発がスタートします。またスタート後は要件定義、設計、製造、運用試験、導入指導、改善フィードバック・・・など長い期間にわたってプロジェクトメンバーは共同で作業を行っていきます。そして、いろいろな問題に直面しているうちに、プロジェクト全体が大きなトラブルに向かって行ってしまうことがあります。

では、どうしてプロジェクトはどうしてトラブルに向かうのを考えましょう。一つはシステム開発をIT業者に対し丸投げにしてしまい、途中段階になってレビューを見てみると期待した通りのシステムにはなっていないということに気づき、そこからトラブルに向かうことがあります。設計書を読解して完成系を見通したうえでその設計をジャッジする能力はお客側(利用者側)には持ち合わせていないことが多いため、システム開発を行うIT業者との間でコーディネートするITコンサルタントやマネジメント担当者に事前にその部分を委託(依頼)しておくと、この問題は未然に防ぐことができます。

もう一つの原因は開発の途中段階で期待するシステムや機能の要望などに対し、その内容が膨らみ、それに対し、予算や工期の見直しや検討がされず、お客様から見ると原因不明とも思われる納期遅れが発生することです。この原因はとでも簡単です。ほとんどの場合、開発が進む中で、お客様(利用者)もようやく色々なイメージが浮かび始め、要望や改善や仕様変更、機能追加がお客様(利用者)の気づかないところで次々を起こってしまい、業者の作業量が急激に増加して予定通りに進まなくなるのです。これも開発要求と予算・工数の関係性の知識を持ち合わせていれば簡単に防ぐことができます。

このような理由で開発プロジェクトが大きなトラブルに至るのですが、それは上記のように発生した問題について、お客様(利用者)と開発会社との間でコミュニケーションの量が不足したり、内容な難解になり相互理解が浅くなったりして、信頼関係が徐々に崩れてしまい、最終的には相互不信に陥るのです。お互いに「相手が悪い。」、「相手に非がある。」と思い始めるのです。こうなると嫌いな相手と仕事をするので、プロジェクト全体が大きなトラブルに向かうのは当然です。こう考えると、システム開発を行う際に、お客側(利用者側)にもIT業者側にも重要なことは技術や知識よりも関係者一人一人のヒューマンスキル(人間性)が高い人間の集まりであるかであるという意見も的を射た意見なのかもしれません。