システム開発の設計の重要性について

システム開発の設計の重要性について

2015年 9月号

システムを作り、利益を上げたい会社はたくさんあると思います。毎日の仕事の中での改善や企画のアイデアをシステムにすることで利益に繋がるだろうという期待をする企業を私もたくさん存じ上げています。そして、システム会社に将来の夢や期待などの思いをぶつけて、開発を依頼することがあります。しかし、その夢や期待や将来見込める利益も大事なのですが、それをいくら聞いても実は良いシステム開発はできないのです。

良いシステム開発とは良い設計がなければできません。設計というとそれはプロの仕事でありお客様や利用者にはわからないものであると思います。しかし、その良い設計というものも実は良い要求から生まれるのです。その要求というものは、それこそお客様や利用者にしかわからないものであり、システムのもっとも重要な核になるような役割を果たすことになるのです。では、良い要求とはどんな要求なのでしょうか?

要求とは一回で一括して、考えたり、伝えられたりするものではないと思います。何度も何度も日常業務や発想した企画と照らし合わせ、アイデアを具現化してき、これならきっと良い結果がでると思えるようになるまで時間がかかるものだと思います。最初は小さなきっかけのアイデアでも、こうしたら可能性が広がるとか、こうしたら実現できるかも知れない、と思い育っていくことでしょう。そして、その要求をシステム会社と話合い、具体的伝え、設計を進めてもらうことになります。しかし、ここが大きな分岐点で問題の場所なのです。それは、そこでシステム会社にすべて任せてしまい、あとはシステム会社への期待と早く現実化したシステムを見たい、使いたいという欲望のような衝動に駆られてしまうということなのです。

ところが、そんなに期待通りの設計は初めからシステム会社からは返ってきません。設計者もそのアイデアを一度聞いたからと言ってすべて網羅した夢のシステムの設計書を書き上げることなどできるわけがないのです。ですから、この設計という段階で、何度も打ち合わせを行い、あらゆることを様々な角度から想定して、具体的な機能や一つ一つの項目に落とし込んでいかなければならないのです。そして、明確で具体的な設計になるまで根気よく続け、まるで完成したシステムの利用シーンがお互いのすべての関係者がイメージできるような設計になるまで進めることが望ましいと考えられます。逆に高い確率で失敗する悪いシステム開発の説明は簡単です、それは反対に抽象的で関係者がイメージできない設計にも関わらず、開発を進めることなのです。