なんでもできるソフトウェアについて

なんでもできるソフトウェアについて

2016年 2月号

業務に使用するソフトウェアは本来その業務に合わせて、技術者が設計開発するものです。ところが、すでに出来上がったソフトウェアを購入して業務に利用するということもあります。その場合は低コストで、容易に導入したにもかかわらず、うまく運用できないケースが多発しています。使えないシステムになってしまうという問題です。それはいったいなぜ起こるのでしょうか?

ソフトウェアの販売方法にも問題があります。システム会社はお客様がITシステムを活用できていない場合に業務の現状分析や戦略的ゴールを見定めた上でソフトウェアの検討をするのです。自分たちのソフトウェアをただ販売することが目的ではありません。ところがソフトウェアを販売したい会社は簡単に、パッケージのソフトウェアで全て解決できるというような提案するのです。このようにできもしないことを言っていることが問題なのです。

「何でもできるソフトウェア」というような提案があるのですが、それに疑問を感じる経営者や情報システム責任者も多いはずです。経営戦略においても「差別化」は重要なテーマであり、業務システムを支えるソフトウェアの「差別化」も重要なはずと考えるからです。パッケージのソフトウェアを少しカスタマイズしたくらいで、独自のノウハウや業務を行っている優良な企業に適合したソフトウェアになるはずがないのです。パッケージのソフトウェアというのは独自性や差別化などの努力を行わない方針の会社には良いものかもしれません。

経営の世界では、何でもできる会社は何もできない会社と言われます。ITの世界では、何でもできるソフトウェアはなにもできないソフトウェア。と言われるわけです。強みを活かした業務を支えるのは差別化されたソフトウェアの設計開発であることは言うまでもありません。どこにでもあるソフトウェアやだれでも手に入れることができるソフトウェアを使用している状態で、経営において他社より優位に競争を進めることなど、できるはずがないのかもしれません。