中小企業がERPで失敗してしまう理由について

中小企業がERPで失敗してしまう理由について

2016年 9月号

多くの会社でERP、基幹業務システム、電算システムが利用されていると思います。これは毎日の会社の仕事の中では欠かせない入力処理や出力処理をしているコンピュータシステムです。会社の中心となる業務データを管理し、時にはその情報に基づき、業務指示が発せられたりもします。業務上の依存度も高いので、システムの機能に対する要望も随時、変更したり増えたりします。このERP、基幹業務システム、電算システムが会社の業績の良し悪しを左右すると言っても言い過ぎではないでしょう。

そのような中で、多くの中小企業がERPのリプレイスつまり再構築を試みるのですが、ココで失敗をしてしまうことがあります。一つ目の失敗の理由は安易にパッケージシステムを選択してしまうからです。パッケージシステムはそのままでは使い物になりません。必ず会社の業務に合わせカスタマイズしなければなりません。しかし、そのカスタマイズでは業務内容にしっかり適合せず、利用者はある程度妥協して運用します。そして、そのわりにカスタマイズ費用は高く、カスタマイズに対するモチベーションが上がらなくなります。システムセールスマンの巧妙なセールストークに乗ってしまい失敗の第一歩が始まることが多くあります。

二つ目の理由はオーダーメイドで業務に適合するシステムの開発にチャレンジするのですが、リテラシーの低い発注側メンバーの空回りで開発が上手く進まないということです。開発側メンバーがすべて正解という訳ではありませんが、この空回り現象は多く存在します。発注側と開発側との間で精度の高い業務理解と設計開発を進めているシステムのイメージの整合性がきちんと取れればこのような空回りは起きませんが、とても難しいことです。そう考えると、開発側のリーダークラスに発注企業の業務内容だけではなく、時には企業文化まで理解したITエンジニアがいることが望ましいと言えるでしょう。

システムエンジニアの教育の現場では技術面だけでなく、お客様との仕事の進め方まで行っております。仕様書に書かれた内容や依頼された指示に対して作業をするだけでなく、積極的に幅広い視点で最高のシステムを創ることを日々学んでいます。口先だけのシステムセールスマンとパッケージシステムが淘汰され、技術力とヒューマンスキルを持ち合わせた真のシステムエンジニアが混迷する日本の産業の救世主になる日も近いのかもしれません。