システム開発の「チャレンジ」について

システム開発の「チャレンジ」について

2016年 11月号

企業が何のためにシステム開発をするのか?という根本的な問いに対する理由の大部分は「業績を伸ばすため」だと思います。企業経営とはどんな時も常にこの「業績を伸ばす」ということを第一の目的にしなければなりません。今まで通りでは業績は伸びないので、何かを変えなければ業績は伸びません。つまり、業績を伸ばすということは今までの古いモノや古いやり方をこれからの新しいモノや新しいやり方に変えていくということになります。これが「改善」なのかもしれません。目標に向かって業務を変革させていくことと言ってもいいのではないでしょうか。

その「業績を伸ばすための改善」に最も役立つことの一つが新しい業務システムの開発です。業務システムの開発は正しく実行されれば、ほとんど確実に「業績は伸ばす」ことができます。これほど顕著に業績を伸ばす改善策はなかなか他には見当たりません。新しいシステムの開発はただの開発にとどまらず、業務フローの見直しや問題点の抽出または分散化されていて活かされていなかった情報の共有化なども副産物として、手に入れることができるのです。

しかし、なぜこの業績を伸ばすシステム開発にチャレンジできないことがあるのでしょうか?一つは社内の反対意見です。予算が掛り過ぎる。面倒くさいし無駄だ。どうせやってもうまくいかない。自分たちでは無理だ。開発が失敗することもある。などと「できない理由」を必死に訴えてきます。「頭の良さそうな愚か者」はこの「できない理由」を考える人です。そういう「頭の良さそうな愚か者」が必ずどの会社にも何人かは居るものです。「頭の良さそうな愚か者」は本当に驚くほどこの「できない理由」を見つけ、語ることにとても長けています。

もう一つは最高責任者の本心です。「業績を上げたい」「システムを開発したい」というチャレンジがどこかで、コストが無い、無理かもしれない、となっていくのです。つまり「そこまでして業績を伸ばさなくてもよい」というレベルにまで下がっているのです。業績に対してどこまで本気であるのかがシステム開発のチャレンジができるかできないかに大きく関わってくるのです。「できない理由」を考える「頭の良さそうな愚か者」と「業績を伸ばす」と言ってはいるものの「本気ではない責任者」がシステム開発の「チャレンジ」の妨げになってしまっているのかもしれません。