不況下でのエンジニアがなぜ優秀なのかについて

不況下でのエンジニアがなぜ優秀なのかについて

2017年 5月号

20年も続く不況下にあって、経済の停滞が長く続いております。あらゆる産業が苦戦を強いられているなかで、近年のIT産業は息を吹き替えしているように思えます。それは恐らくこの不況下で育ったITエンジニアがとても優秀であるからこそ、なし得た業と言えるのではないでしょうか。何故、この30代、40代のITエンジニアがとても優秀なのか?を問うとその逆のことが良く分かってきます。

一般に最近のIT業界では、営業職にしろ、技術職にしろ、管理職にしろ、「50代NGです」と言われる案件やケースが非常に多いということです。業界に限らないことかもしれませんが特にIT業界ではこのことが大きな問題になっております。「50代は口ばかりで何もしてくれない。50代は横柄で自分の非を認めてくれない。50代は能力やスキルを高めることよりも権限を持つことを優先している。50代の人とはコミュニケーションがとりづらい」など多くの厳しい意見がプロジェクトリーダークラスのエンジニアから発せれています。全てが事実では無いと思われますが、概ね的を射ていると言われております。

問題があり収益を上げるプロジェクトに参画できない50代の社員を抱えている会社では、その人件費が見合わず、費用対効果が合わないため、経営自体をとても圧迫してしまうこともあるようです。このような問題のある50代のIT会社の社員はバブルの好景気で仕事において苦しみや挑戦が足りなかった不幸な年代という捉え方もできるでしょう。このような問題のある50代の不幸な先輩社員を反面教師にして、活躍を重ねたのが優れた30代40代の現在のIT業界を支える優秀なエンジニアなのです。

1960年代生まれの問題のある先輩社員の元で70年代80年代生まれの優れたエンジニアはたくましく育ちました。不況下の厳しい経済環境の中で、謙虚に素直に勤勉に、真摯に仕事に従事をしてきたように見受けられます。いずれ世代交代はやってきます。IT業界はその世代交代を早めに実行することも視野に入れるべきなのかもしれません。大事な仕事には営業職であれ、技術職であれ、管理職であれ、優れたITエンジニアが登用され、更なる成果を上げることができるように、働く環境の整備を進めていくことが大切であり、そのことが日本のIT業界の進歩と飛躍の鍵になっていくのかもしれません。