システムエンジニアの職業人気について
2017年 7月号
最近の調査などによると、子供たちの将来なりたい職業の上位にシステムエンジニアがランクインしております。ひと昔前では考えられないことでしたが、職業としてのシステムエンジニアの人気についてはこの数年間の業界の実態を冷静に考えれば当たり前のことと言えるのかも知れません。つまり、システムエンジニアという職業の人気を作り上げたのは日本のシステム会社の経営が狙っていた結果の一つとも言えるのです。それはいったい、どういうことなのでしょうか。
システム会社自体が近年の情報化社会の進展に伴って、急増してきた産業という特徴があります。そのため、システム業界には後発で歴史の浅い会社が多く存在しております。そのようなシステム会社を経営する経営者も比較的若くして創業していることが多いようです。経験値が少なく、実績の少ないシステム会社の経営者たちは産業界の中でも他の業界の経営者に比べコネクションも権力も無く、実務だけを中心に邁進してきたと言えるのでしょう。
一方、システム産業とは別の産業に属する会社は社歴や実績が豊富な会社が多く存在しております。そのような会社が自社の事業発展のためのITシステムが必要になった時にはシステム会社に依頼、発注することになります。その時の発注側と受注側のパワーバランスの傾きは明らかです。若く実積の無い創業者の会社の顧客として他業界の大手企業のサラリーマン社長や同族経営の継承社長が存在するケースが多数を占めたのではないでしょうか。
そのような不均衡なパワーバランスの中で、提案見積りに対する強引な値引きや決まった仕様に対する変更や追加等が原因で、上手く開発が進まなければ全てシステム会社の責任にしてしまう"圧力的発注"が多発しました。そんな中、システムエンジニアは直向きに謙虚さと努力で世のため人のためにシステムを作り続けてきました。そしてその結果として、システム産業が不況の日本経済をリードするような時代になったのです。子供たちからの人気はこのようなシステム会社とシステムエンジニアの謙虚な努力に裏付いた成功への憧れなのかもしれません。