想定する見積もりの差異の発生について

想定する見積もりの差異の発生について

2018年 9月号

通常、IT関連会社にシステムの件やウェブサイトの件で要望の問合せを行った場合、ソリューションの提案に併せて見積り(金額や納期)も提出されます。そこでよくあるケースはお客様の想定した見積り(金額や納期)よりも多く必要であると積算され、お客様とIT関連会社の間で見積りの差異が発生するケースです。この場合、お客様の予算とIT関連会社の見積りが合わないので調整が難航することになります。

なぜそのようなことが頻繁に起こるのでしょうか?その原因をしっかりと把握しなければ、誰しもいつか直面する問題として解決されないままになってしまいます。もちろんこの問題を完璧に回避する特効薬は無いのかもしれませんが、少しずつでも取り組みを始めて、積極的な改善を試みることは今後IT業界のしなければならないことの一つであると考えます。

この問題点は少し視点を変えてIT業界以外の分野を見てみると分りやすいかもしれません。例えばブランド品などのリサイクルの買取りなどに同様の差異を見受けることがあります。売り手は買ったときの金額がこれくらいだったからきっと今はこれくらいの値打ちにはなっているだろうと高い金額を期待するものの、専門家(買取業者)から見れば二束三文のどこにでもあるガラクタ同然の品で大した値段など付かない・・・・・・といったようなケースです。専門家(買取業者)は価値が全く無いとも言えず、「お客様のご期待に答えられずに申し訳ございません。」と詫びながら丁寧に辞退することになります。

IT業界においても同様で、お客様としては簡単で安くできると期待しているシステムエンジニアリングやウェブデザインや技術などのソリューションは、プロの専門技術者の視点を以ってするとそれほど容易く、低価格でできることではないと分かるのです。専門的な知識を充分持たないとき、自分にとって都合が良いだけの根拠の無い期待を想定としてしまうは無理も無いことです。しかし、この見識の差が即ち、見積もりの差異の生まれる一端となるのです。これからのITエンジニアやコンサルタントには、常に最新の情報や技術を分りやすく丁寧に開示、説明することで、お客様との認識の違いによって生まれる差異の発生を少なくし、また、質の高いソリューションを提供していく能力が求められているのではないでしょうか。