アンフェアな取引先について

アンフェアな取引先について

2018年 12月号

システム開発の成功には要件定義やプロジェクトマネジメントが重要であると言われております。しかし、ITシステムでビジネスを成功させるには、依頼するシステム会社の選定やシステム会社とのパートナーシップの関係性も合わせて重要であると言えます。

取引しているシステム会社に対して、支払う費用はハードウェアの費用であったり、SEの作業にあたる人件費であったりします。システム会社はお客様のことを考えて自社の用意するSEなどの人材(人的リソース)に掛かる人件費をベースにして、できるだけ高品質で効率的にプロジェクトを成功させるために工数(見積り)を算出します。これはお客様のビジネスの成功のために貢献し、より良いパートナーシップの関係を長く続けて行きたいと考えているからです。そして、システム会社だけでなく、発注側(お客様側)も同様にそれを望んでいるからこそ成り立つことでもあります。

ところが依頼する会社は当然取引業者ですから、この業者へのコストを抑えて仕入れをしたり、設備を整えたりしたいものです。そこでその欲が大きくなり、業者への無理な値引きや、当初には無かった機能を後になって「要求に入っていた」ということを言ってしまうことがあります。取引ですのである程度の交渉は理解の範囲内です。しかし、他方から見てみると作業費に対する値引きは人件費に対する値引きです。つまり、同じ社内であれば一方的に社長が社員に対して「給料をカットする」と言っていることと同じです。本人が悪いわけではないのに、会社や社長の都合で給料をカットすることはなかなか許されることではありません。また、当初要求していない機能を要求することは作業の追加にあたります。つまり、同じ社内であれば一方的に社長が社員に対して残業を強いることと同じです。サービス残業を強いることも昨今なかなか許されない事象となっております。このような会社はブラック企業と世間では呼ばれております。

システム会社はお客様(の特に責任者や社長と呼ばれる人)から無理な値引きや当初なかった要求を依頼されると、その会社のことを「ブラック顧客」だと認識することがあります。アンフェアな会社、ブラック企業とはできるだけ取引を避けようとすることは当然の心理かもしれません。例え依頼を断れず受けたとしても、モチベーションとプライオリティは上がりません。つまりアンフェアな取引は誰のためにもならないということになってしまいます。どのようにしたらアンフェアを無くしていけるのかという課題に取り組むこともこれからは大切になってくるのではないでしょうか。