考えがそのままシステムになるということについて

考えがそのままシステムになるということについて

2019年 1月号

社内システムをつくる際に、自社ではその技術やリソースが無いために外部に委託しているという会社がほとんどだと思います。ただし、外部に委託したとしても、社内には依頼元・発注元となる担当者や責任者が必ず存在しますので、その担当者や責任者はまさに社内システムをつくる人の中に含まれると考えられます。特に業務システムなどでは、会社によっての特有の業務内容や作業フローに合わせて特殊な機能を作るので、複雑で大掛かりになるケースがあります。ところが、そのことがうまくいかずにトラブルにまで発展していまい、結果的にお互いの関係が崩壊し、頼んだ側も頼まれた側も嫌な思いをしてしまうことや、実際に経営損失を起こしてしまうということもよく耳にすることだと思います。

そのようなトラブルにならずに、むしろ反対に「素晴らしいシステム開発になった」というような成功を手に入れるためにはどうすれば良いのでしょうか?そのことについて、システム開発管理の手法やシステム発注のノウハウなどを記載したテクニックに関する情報はたくさんありますので、とても参考になると思います。しかし、システム開発の成功はそれだけではないのです。そこには手法やテクニックの側面ではなく、正反対のように思える、仕事に対する考えという一見システム開発には何も関係が無いようなことが密接に関係しているのです。ではなぜITシステムの発注担当者に仕事に対する考えがそれほどまでに必要なのでしょうか? 発注する会社から請け負って開発する会社に様々な情報や依頼が送られることによって、システムは一つ一つ作り上げられていきます。その際に会社間の窓口となるのはそれを担当する人になります。その人が要求情報や作業依頼をしなければ何も進まず、システムは作られません。ですから、その会社の発注担当者が依頼したとおりのシステムが出来上がって返ってくるだけなのです。

そこで更に考えると、それを受ける側の会社にも開発担当者がいます。その人にきちんと要求情報や作業依頼をすることが大事なのですが、受け取る側も同じ人間であるということです。人間ですから単に要求情報や作業依頼を電子データとは理解しません。「少しでもよくするためにはどうしたら良いだろうか」などと考えながら仕事を進めます。ですから、お客様から受けとるものは要求情報や作業依頼の電子データだけではなく、その人の仕事に対する考えというものまで受け取っており、伝わっているのです。

つまり、雑に伝えれば雑なシステムになり、正確に伝えれば正確なシステムになるようなものです。システムなのだからそんなこと関係ない、と考えていればきっとその考えの通りにシステムは出来上がってくるということになるのではないでしょうか。